TikTokは今後禁止される?各国での規制に関しても解説
「TikTok」という動画投稿型のSNSが、中国に個人情報を不適切に送信しているという疑いが浮上し、世界各国で禁止措置が検討されています。この状況により、日本国内でも「TikTokのサービスがいつか終了するのではないか」という噂が流れています。
しかし、現在のところ、日本ではTikTokの禁止は予定されていません。ただし、これは個人情報の収集や利用に関して懸念がないわけではありません。特に、大企業が個人情報を不適切に扱う可能性があるため、注意が必要です。
したがって、自分の国でアプリがまだ禁止されていなくても、個人情報や機密情報を保護するための対策を講じる必要があります。本記事では、TikTokの日本における規制や各国の状況について詳しく解説します。
TikTokの特徴とは?
TikTokは、15秒から10分程度のショートムービーを撮影・投稿できる動画共有サービスです。普段の暇な時間に使うことができて、情報収集や動画を楽しむことができます。
TikTokでは、音楽やエフェクトなどの動画加工をサポートするソフトウェアがあり、誰でも簡単に高品質な編集ができます。また、精度の高いレコメンデーション機能があるため、自分の趣味や嗜好に合わせた好みの動画を見つけることができ、自分にとって貴重な体験を提供してくれます。
TikTokは、日本では10代から20代がメインユーザーで、若い世代にリーチしたい企業にとって最適なプラットフォームです。TikTokの広告は、スマートフォンの画面全体に表示されるため、ユーザーにとって没入感の高い体験となります。
また、広告主は広告を掲載する際に、より多くのコントロールが可能であり、性別や年齢など、様々なターゲットに広告を配信することができます。このように、TikTokはより効果的で効率的な広告を提供することができます。
TikTokの世界利用ユーザー数
2023年3月現在、全世界で10億5100万人以上のユーザーがTikTokを利用しており、そのユーザー数は着実に増加しています。TikTokは、これまで動画の投稿時間が最大1分に制限されていましたが、2022年には最大10分まで投稿できるようになり、ユーザーのさらなる創造性を引き出すことができるようになるでしょう。
また、TikTokのサービスは、アカウント登録から豊富な編集ツールの利用まで、すべてのユーザーが無料で利用できるため、アプリへの価値を高め、より多くのユーザー層を獲得することができます。
また、あらゆる規模の企業にとっても、自社の製品やサービスをアピールするための魅力的なプラットフォームとなっています。
TikTokの日本国内ユーザー数
2023年3月現在、TikTokのユーザー数は全世界で10億5100万人以上に上り、ユーザー数は増加傾向にあります。TikTokは、過去には1分までしか投稿できなかった動画投稿時間を2022年に最大10分まで延長し、ユーザーの創造性をさらに引き出すことができるようになりました。
TikTokのサービスは、アカウント登録から豊富な編集ツールの利用まで、すべてのユーザーが無料で利用できるため、アプリの価値を高め、より多くのユーザー層を獲得することができます。
「TikTok」と「ドウイン」の関係性
TikTokは、中国発のアプリであることは周知の事実です。ただし、中国国内で使用されている「ドウイン」とグローバル市場で使用されている「TikTok」とは、異なるプラットフォームです。
ドウインの海外版であるTikTokは、アプリを示すアイコンは全く同じですが、登録方法が異なっています。ドウインでは中国で登録した電話番号を使用する必要があるのに対し、TikTokではTwitterアカウントなど他のSNSアカウントとの連携が可能で、ドウインよりもユーザー登録が簡単です。
この違いは、SNSアカウントとの連携により、どの国のユーザーでもTikTokにアクセスできるようになり、グローバル市場に対応するための同社の戦略を示唆しています。さらに、アプリのユーザーインターフェースは、言語選択機能や各国の現在時刻の表示、ユーザーのローカルタイムゾーンの選択など、グローバル市場に対応したものとなっています。
このように、TikTokは世界中で人気を集めています。そのため、企業や個人がTikTokを活用することで、グローバルなオーディエンスにアプローチすることができます。TikTokは、他のSNSプラットフォームと異なり、独自の特徴を持っています。例えば、15秒から10分までのショートムービーの投稿が可能であり、さまざまな音楽やエフェクトを利用することができます。
また、TikTokは、精度の高いレコメンデーション機能により、ユーザーの趣味や嗜好に合わせた動画を提供することができます。これにより、企業や個人がターゲットに合わせた広告を提供し、より効果的なマーケティングを行うことができます。
さらに、TikTokの広告は、スマートフォンの画面全体に表示されるため、ユーザーにとって没入感の高い体験となります。また、広告主は、性別や年齢など、様々なターゲットに広告を配信することができます。このように、TikTokは、グローバル市場でのビジネスやプロモーションに最適なプラットフォームとなっています。
一方で、TikTokはプライバシーに関する問題にも直面しています。2020年には、アメリカをはじめとする多くの国で、TikTokに対する懸念が高まり、禁止措置が検討されました。この懸念は、TikTokが個人情報を収集し、中国政府に送信しているという疑いがあることが背景にあります。
しかし、TikTokはこれに対して積極的な取り組みを行っており、個人情報の収集や利用に関する方針を改善するなど、信頼性を高めるための努力を続けています。また、日本国内では当面のところ、TikTokを禁止する予定はないとされています。
以上のように、TikTokはグローバル市場で急速に成長しているSNSプラットフォームの一つであり、広告やマーケティングにも活用されています。ただし、プライバシーに関する問題にも注意が必要です。
TikTokがなくなるとどうなる?
TikTokがなくなって一番困るのは、TikTokを使って収益を上げる(お金を稼ぐ)人たち、TikTokerです。TikTokはYouTubeのように動画を見てもらうことで収益を上げることはできませんが、フォロワー数の多い著名人の中には、TikTokのCM広告塔になったり、TikTokと自分のビジネスを結びつけて収益を上げるためにTikTokを使っている人もいます。
そうしたTikTokユーザーにとって、TikTokの規制や禁止はかなりの痛手となります。
さらに、TikTokは近いうちにYouTubeのように簡単にお金を稼ぐことができるようになると噂されているため、TikTokが制限されたり禁止されたりすれば、フォロワーを増やすために努力してきた一般ユーザーの努力がすべて水の泡になってしまいます。
さらに、禁止されたことにより、Instagram、YouTube、Twitterなど他のソーシャルメディアへのTikTokerの流出が今後進むことは間違いありません。とはいえ、TikTokを知らない人、TikTokを利用していない人にとって、TikTokの問題は障害にならないので安心してください・
日本でTikTokが使えなくなるということはない
世界各国でTikTokの利用を控えるよう求める声が上がっていますが、日本では利用を禁止したり、アプリケーションの配布を停止したりする予定はないとのことです。日本の公式Twitterも「TikTokが終了する」という噂が流れた当初は、事実無根であると発表しました。
日本における今後のTikTokとは?
日本は米国の同盟国であるため、今後も米国政府の動きが「安全保障上の懸念」と言われれば、同調する可能性は高いでしょう。特にトランプ政権は、日本、オーストラリア、インドの3カ国と「対中包囲網」を構築し、将来的には正式な仕組みにする意向を表明しているとされています。
米国では現在、トランプ氏とバイデン氏による次期大統領選の選挙戦が展開されています。その結果次第では、米中技術冷戦の流れは変わるのでしょうか。トランプ氏の対抗馬であるバイデン氏は、対中強硬姿勢を見せるものの、TikTok禁止令について明確な発言はしていません。
しかし、議会の対中姿勢はホワイトハウス以上に強硬であり、中国問題に対する議会の支出は増える一方です。
また、下院では、新疆ウイグル自治区のウイグル人に対する扱いを理由に中国に制裁を加える「ウイグル人権政策法」が可決され、中国の政策に反対する議会の取り組みも強化されました。
このため、中国からは強い衝撃と反応があり、今後も緊張が続くと予想されます。したがって、仮に政権交代が実現したとしても、大統領選挙の結果次第では、米中間の摩擦が容易に解消されるとは考えにくく、米中間の緊張は高まったままであると考えられます。
米中技術冷戦の最新動向を把握するためにも、米国、欧州、オーストラリア、近隣アジア諸国などの対中姿勢を冷静に見守り続けることが必要といえるでしょう。
TikTokに規制や禁止の声が出ている理由
TikTokが危険視されているのは、運営会社であるバイトダンスのユーザー情報の取り扱いに関する不透明さです。多くの国では名指しを避けているが、中国政府の国家情報法に基づき、ユーザーの個人情報を不正に収集し、本国に送信していることが疑われています。
一国の政府に情報が渡るということだけでも十分不気味ですが、問題はその政府が一党独裁であることだ。非民主主義国の統治プロセスは不透明なことが多く、取得した情報がどのような目的で使用されるかは全く不明となっているのです。
国家情報法は、個人や企業に政府の情報活動への協力を求め、さらに国家情報機関が一般市民に対して協力を要請することができるとしています。つまり、中国企業であるByteDanceは、自国の方針にかかわらず、要請があれば本国政府の情報収集活動に協力しなければならないのです。
また、日本を含む欧米諸国は現在、中国との経済的対立を深めている。少し先の話かもしれませんが、TikTokの加入者の情報が軍事作戦に利用されないという保証はどこにもありません。しかも、同サービスの人気ゆえに大量の個人情報が集まっており、疑惑が事実であれば、軍事・諜報活動などでさらに優位に立てることになります。
個人情報の流出や利用目的の問題
TikTokの個人情報の取り扱いをめぐって最初に問題になったのは2019年で、2月末に米連邦取引委員会(FTC)がByteDance社に対し、「13歳未満の子どもから個人情報を収集するにあたって親の同意を得ていない」と指摘し、多額の制裁金を課しました。
この問題は2020年7月に再び再燃し、イギリスの団体からも同社に対して提訴されました。そして2020年8月、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析で、同社が「ユーザーの同意なしにAndroid端末から個人識別情報を収集している」と指摘されたのです。
これにより、アプリのユーザーを中心に、明示的な同意なしに人々から情報を収集することの合法性について、数多くの議論が巻き起こりました。さらに、顔写真や声紋などの生体情報など、不正な情報収集の噂も絶えず、アプリのデータ収集方法に対する不信感が高まっていきました。
結局、2021年6月、TikTokはプライバシーポリシーを更新し、情報が収集されていることをより明確にしてしまいました。しかし、一部のユーザーにとっては手遅れで、同社はすでに「広範囲な個人情報を収集している」と非難されながら集団訴訟で法廷に立たされています。
TikTokだけが規制や禁止対象になっているわけではない
しかし、危険にさらされている企業はTikTokだけではありません。同じくSNSを運営する他国のIT企業も、情報の取り扱いについて厳しい目を向けられています。実際、情報漏えいや不適切な管理が指摘されているケースもあります。
2021年4月、米国のニュースサイト「ビジネス・インサイダー」は、5億人以上のユーザーの個人情報が流出したことを報じました。
LINE
2021年3月、LINEは業務を委託していた中国の社員が日本国内のユーザーデータにアクセスしたことを発表しました。これにより、LINEを活用して地域住民に情報発信していた自治体などが混乱し、政府がLINEの利用に関するガイドラインをまとめることになりました。
これらは、IT企業が抱える個人情報に関する問題のほんの一例です。いずれにせよ、ソーシャルネットワーク利用者の観点から、TikTokだけを特別に危険視する理由はありませんが、データ漏洩やその他のタイプのプライバシー侵害の可能性を認識しておくことは重要です。
日本でのTikTokの規制状況
前述の通り、日本では当面、TikTokの利用に対する規制はない。しかし、自民党のルール形成戦略議員連盟はこの問題に関心を持ち、データの不正利用が疑われる場合にアプリ会社の立入検査を容易にする制度の創設を検討しています。
とはいえ、まだ具体的な法案をまとめる段階であり、今後2~3年以内に規制を開始する予定はありません。また、仮に規制を行うとしても、他のデータ関連法規のように、まずは「個人情報の保護に関する法律」に基づいて調査を行い、合理的な理由があれば訴訟を起こすという段階を踏む必要があるでしょう。
さらに、規制には、アプリを通じた偽情報や不適切なコンテンツの拡散を監視・制限する政府の役割など、他の社会的課題も考慮されるでしょう。規制の可能性があっても、政府は2019年に成立した人工知能(AI)産業の発展を促進する法律のような、インターネットアプリケーションの開発に関わる既存の枠組みを採用することが考えられます。
少なくとも、「ある日突然TikTokがダウンロードできなくなる」「ある日突然TikTokにログインできなくなる」というようなことはないでしょう。
アメリカでのTikTokの規制や禁止の状況
今回のテーマでもある「TikTokがなくなる」という噂は、トランプ政権下で米国での使用を禁止する動きが強まったことで信憑性が高まりました。米中対立が深まる中、欧米と足並みを揃える日本が、トランプ前大統領の過激な政策に同調する必要があるというのが巷の共通認識でした。
しかし現実には、米国ではまだTikTokの利用に規制がかかっていません。大統領選後の政権交代や外交課題の転換により、今後、米国が実施する規制の可能性そのものが大きく薄れています。
トランプ大統領は利用を規制していた
TikTok利用禁止の可能性が出てきたのは、2020年7月、トランプ元大統領がテレビ番組で発言したことがきっかけでした。実際、同年8月、トランプ氏はバイトダンス社および関連子会社との取引を禁止し、同社に事業売却を命じる一連の大統領令に署名しています。
アプリを禁止する一連の大統領令の最新版として、米国司法当局が提出した複数の差し止め命令により、禁止令を制定しようとする試みが阻止されています。複数の企業がアプリの一部を購入する意向を示していますが、まだ取引は確定していませんし、承認もされていません。
バイデン大統領は慎重に検討
バイデン政権は、TikTok事業の売却を棚上げすることも決定しています。ただし、商務省には今後4カ月以内に中国などの勢力から個人情報を守るための対策を検討するよう指示があり、セキュリティリスクを慎重に検討している様子がうかがえます。
一方、中国では巨大IT企業に対する圧力が強まっており、TikTokが個人情報を不正に収集したとして当局から名指しされています。中国政府の今回の動きは今に始まったことではなく、過去にも言論検閲、メディアコンテンツのコントロール、繊細な検閲法に反すると判断された活動に対する外国企業の処罰など、複数の事件が発生しています。
バイデン政権は前述の事例に注目し、その結果、TikTok事業の売却が確定する前に、ユーザー情報の悪用や禁止データの他国との共有から保護するための措置を確保したようです。一方、米国では、1月に出されたTikTok禁止命令がバイデン大統領によって撤回され、TikTokが失われる心配はなくなりました。
他の国のTikTok規制
TikTokに対する危険な見解は、米国に限ったことではありません。実際に政治的な理由で使用を禁止している国もあります。例えばインド政府は、政治的な性質を持つ活動を含むことが多いアプリで利用できるコンテンツから、国民の安全を守る必要があると判断したのです。
ロシア
ロシアでは、TikTok自体の利用を禁止するよりも、投稿の内容を規制する傾向があります。現地の報道によると、政府はデモを呼びかける「違法」な投稿をすぐに削除しない場合、罰金を科すと発表し、運営側に当局に説明に行くよう求めています。
インド
国家間の対立から中国企業への圧力が強まるインドでは、2020年6月にTikTokを含む59のアプリが禁止されました。禁止理由は「インドの主権、保全、国防、安全保障、社会秩序に悪影響を及ぼすため」と明記されています。
インド政府は、これらのアプリの禁止は、フィッシング、悪質な広告、データ盗難などの潜在的な悪意ある活動から国のデジタルインフラと国民を守るために必要であると主張しています。
オーストラリア
オーストラリアでは、2020年8月に首相が「TikTokの利用を禁止する根拠はない」と発言しています。一方、一部の海外メディアでは、軍人のTikTok利用が禁止されていると報じられています。しかし、軍人のTikTokの禁止という散発的な報道以外には、オーストラリア政府がTikTokの利用を禁止しているという事実はありません。
EU
TikTokについては、欧州では2021年3月にアイルランドデータ保護委員会が、一部のEU顧客のデータを中国に送信している可能性があると警告しています。この指摘を受けた欧州各国は、英国、フランス、ドイツに調査を促すなど、厳しく追及しています。
イギリス、フランス、ドイツは、前年8月に、TikTokが市民のデータに脅威を与えるという証拠がないとして、TikTokの使用を禁止する予定はないことを表明しました。アイルランドデータ保護委員会の警告にもかかわらず、欧州連合におけるTikTokの利用を制限または禁止する計画に関する新しい情報は広く伝えられていません。
まとめ
結論を改めて述べると、日本国内でTikTokが消滅したり、アクセスが制限されたりすることは当面考えられません。仮にTikTokの利用が制限されるとしても、現行法に基づく法整備や調査の対象となり、そこから再度所定の手続きを踏む必要があるため、数ヶ月から数年経過した後の話となります。
噂の発端となった米国では、前政権による使用禁止措置も撤回されました。しかし、ユーザー情報が中国政府に渡っているという疑惑は払拭されておらず、政府による注意喚起もまだ解除されてはいません。
位置情報や写真フォルダから自動的に情報を取得するTikTokや他のアプリのユーザーにとっては、個人情報が無謀に共有される危険性が高まるため、注意が必要です。データ収集の可能性とその影響について常に意識することが重要であるため、ユーザーはプライバシー設定やデータを見直すことで、自身のセキュリティを管理することが推奨されます。