TikTok運用に必須!新たなマーケティングツール「TikTok Attribution Manager」を徹底調査
「TikTok運用でしっかり分析したい」「もっと手軽にSNSマーケティングを試してみたい」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、SNSの中でもTikTokに焦点を当てたマーケティングツール「TikTok Attribution Manager」について、一つ一つかみ砕いて分かりやすく解説していきます。
これからTikTokを運用したマーケティングを成功させたい方や、あらためてTikTok運用についての理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
TikTokの基本情報
ここでは、TikTokに関する基本的な概要、TikTok広告について触れていきます。TikTokを運用する際には、まず第一にTikTokの基本情報をしっかりと把握することが必須です。
SNSによって、ユーザー層や特徴などが異なりマーケティングの戦略も変わるため、今一度しっかりと確認していきましょう。
TikTokの特徴
TikTokは娯楽やコミュニケーションツールにとどまらず、情報収集ツール、さらには企業のマーケティングの手段としても多くの人に利用されています。
以下にTikTokについての概要をまとめているので、ご覧ください。
TikTokとは | ・短尺動画の作成、投稿に特化したSNS ・全世界で約10億人ものユーザーが愛用している ・BGM付き動画が画面いっぱいに表示される |
ユーザー層 | 10~20代の若年層がメインユーザーですが、最近では30~40代のユーザーも増えてきており、年齢層の広がりを見せている。 |
主な特徴 | ・拡散力が高い ・動画の撮影から編集、投稿をTikTok一つですべて完結させられる ・動画の編集や加工をスマートに行える ・ほかのSNSとは異なり、フォロワー以外の動画も見られる ・TikTok独自のアルゴリズムで、個々の興味関心に合う動画を「おすすめ動画」として積極的に表示する |
このようにユーザー層の広がりによって、これまでTikTok界隈で主流であったダンス系動画以外にも変化が見られています。
例えば、グルメ系・ペット系・生活に役立つ豆知識系・ビジネスノウハウなど、幅広い分野の動画が投稿されるプラットフォームへと変わりつつあるのです。
TikTok広告
最近では、ビジネス界隈においても企業がTikTokを活用することが増え、工夫を凝らしたPR動画が注目を集めています。TikTok広告の特徴は、ほかのSNSと同様に広告の表示がされる一方で、スクロールすれば広告をスキップできることです。
そのため、ユーザーにとっては広告特有の過度なアピールに対するストレスをぐんと減らすことが可能となりました。
TikTok広告のメリット
近年、TikTok広告が多くの企業に用いられているのは、大きなメリットがあるからです。
TikTok広告には、主に以下の4つのメリットが挙げられます。
- ユーザーに受け入れられやすい
- 拡散力が強い
- 購入につながりやすい
- 小額からの運用ができる
では、具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
ユーザーに受け入れられやすい
通常SNS内に表示される広告は、それまで視聴していた動画が勝手に広告に切り替わり、再生が終わるまで元の動画に戻ることができないものが大半を占めています。このように、PRの強さがユーザーにとってストレスに感じやすい傾向があるのです。
一方、TikTok広告では通常の投稿と同じように表示されるので、広告独特の煩わしい宣伝がない点も特徴といえるでしょう。画面をスワイプしてTikTok広告を自由にスキップできるため、嫌々広告を見続ける必要はありません。
拡散力が強い
拡散力の強さには、TikTok独自のアルゴリズムが大きく関係しています。
これまでのようなインフルエンサーである「人」を介しての拡散ではなく、AIを活用したアルゴリズムをもとに「おすすめ動画」として多くの人に動画を届けられます。
また、「いいね」やコメントなど他ユーザーからの評価もポイントとなります。それまで無名であったユーザーが一つの動画をきっかけに、有名人になることも珍しくありません。実際に、一夜にして有名なインフルエンサーとなった事例もあります。
購入につながりやすい
認知から購入までが一つのプラットフォームで成り立つTikTok。TikTok内では、「ハッシュタグ」「検索」「フォロー中フィード」など、さまざまな機能によって購入経路の仕組みが作られています。
中でも「おすすめフィード」による支持率は高く、特に短尺動画においては多くのユーザーが求めているようです。静止画とは違い、商品の雰囲気や色味、シルエットなどは動画による紹介が視聴者にも伝わりやすいでしょう。
TikTok Attribution Managerとは
2022年6月に発表されたTikTok Attribution Manager(ティックトック アトリビューションマネージャー)。このツールを活用することで具体的にどのような効果があるのでしょうか。
ここからは、TikTok Attribution Managerについて詳しくご紹介していきます。
どんなツール?
TikTok Attribution Managerは、TikTokマーケティングをより柔軟に行うことを目的としており、TikTokにおいてマーケティングの効果測定を適正に行うためのツールです。
これは、広告を打ち出す際に利用できるサービスである「TikTok Ads Manager」による新しい機能として、注目されています。
また、キャンペーンの効率を上げることにもつながり、より円滑でスムーズな広告分析が可能となるでしょう。
どんな機能?
TikTok Attribution Managerでは、計測期間を細かく設定することが可能です。後に詳しく解説していますが、「クリックスルー」と「ビュースルー」の2種類のオプションが用意されています。
これは、広告主によって広告の目的が異なるため、それぞれの検討期間もさまざまであることが大きく関係しているでしょう。また、TikTok広告の効果測定ツールである「TikTok Pixel」や「Web Events API」を使用するすべての方が利用できます。
そもそもAttribution Managerとは
Attribution Manager(アトリビューションマネージャー)とは、TikTokで広告を作成・管理できるTikTok提供ツール「TikTok Ads Manager(広告マネージャー)」内にあり、広告主がアトリビューション設定を確認、調整できる場所です。
TikTok Attribution Manager設定は、TikTok Attribution Managerの管理画面のAssetsメニュー下から変更できます。この「アトリビューション」について、詳しく見ていきましょう。
「Attribution (アトリビューション)」って?
マーケティングにおける「アトリビューション」とは、それぞれの広告ごとに達成したい目的(コンバージョン)への貢献度のことを言います。主に、広告コンバージョンに至った要因を数値化したもので表します。
Webマーケティングでは、広告が表示される数やクリック数、コンバージョンに至るまでの流れがアトリビューション分析の指標となるのです。また、アトリビューションは目的に合ったモデル選択をする必要があります。
利用するモデルにはさまざまな種類がありますが、具体的には以下の5つが挙げられます。
ラストクリックモデル | ・最後の広告経路を重点的に計測するモデル ・慎重な成長戦略に適しており、広告運用直後や新たにメディアへ出稿する場合に用いられる ・コンバージョン重視のマーケティングに適している |
ファーストクリックモデル | ・最初の広告経路を重点的に計測するモデル ・認知度の向上を目的とした広告配信を行う場合に用いられる ・ブランドの認知を高める際などに適している |
減衰モデル | ・コンバージョンに近い広告ほど貢献度を増やすモデル ・慎重なアトリビューション分析を行うことができる ・主になるべく短期間で成果を出したいマーケティングに用いられる |
線形モデル | ・貢献度を均等に分けるモデル ・貢献度に偏りがなく、さまざまなビジネスモデルで用いられる ・ある程度のサンプルが集まらないと正しい結果が出にくいので注意が必要 |
接点ベースモデル | ・起点・終点を重点的に計測するモデル ・広告の貢献度が高いビジネスモデルで用いられる ・認知目的で行う長尺動画広告など、最初の接点を重要視する施策に適している |
TikTok Attribution Managerの導入によって、TikTok Ads Managerでカスタマイズ可能なアトリビューションウィンドウを活用できるのも特徴の一つ。ここからは、TikTok Attribution Managerと密接な関係である「TikTok Ads Manager」と「アトリビューションウィンドウ」について、順番に解説していきます。
TikTok Ads Manager(TikTok広告マネージャー)
TikTok Ads Manager(TikTok広告マネージャー)とは、TikTok for Businessにおけるサービスの一つで、主な機能として以下の6つが挙げられます。
- 目的の選択
- オーディエンスの選択
- 予算調整
- 広告の作成
- 自動公開
- 効果測定
これらの機能の内容について、以下の表にまとめたのでご覧ください。
主な機能 | 内容 |
目的の選択 | ・webサイトトラフィックの増加 ・アプリインストール数の増加 ・オンラインセールスの拡大 ・セールスリード獲得などの目的から最適な項目を選び、広告を作成できる。 |
オーディエンスの選択 | ・オーディエンス ・デモグラフィック ・デバイスなどの項目から選択し、オーディエンスの範囲を調整できる。 ※これらは広告配信を行うユーザーをターゲティングする際に重要。 |
予算調整 | ・「日次予算」や「通算予算」を入力し、予算を調整できる。 ・支払い額の調整や中止は随時行えるため、予算超過が激しいときなどもすぐ対応可能。 ・広告開始当初は予算を多めに設定し、後で調整するのが基本となる。 |
広告の作成 | ・画像や動画を組み合わせた広告の作成が可能。 ・編集はもちろん、AIツールを駆使しながらスムーズに作成できる。※複数の広告を公開する場合には、いかに自動機能を上手く取り入れながら効率よく進めていけるかがポイントとなる。 |
自動公開 | ・広告の公開時には、TikTok広告マネージャー独自の機能により、最適なユーザーに向けて最適なタイミングで表示してくれる。
※手動に比べて、大幅な時間と手間を削ることができる。 |
効果測定 | ・広告効果を数値やグラフによって測定できる。
※TikTok Attribution Managerによる調整も測定結果に影響してくるので、細やかな調整が必須となる。 |
TikTok Attribution Managerは、TikTok Ads ManagerのAssetsメニューの下から設定が可能です。
TikTok Ads Managerには、キャンペーンのパフォーマンスを理解するための以下のような3つのビューがあります。
- ダッシュボード
- キャンペーンページ
- レポートページ
これらは、それぞれがニーズに応じて異なる指標を提供するよう設計されています。では、一つずつ見ていきましょう。
【ダッシュボード】
アカウントの全体が見えるトップ画面です。キャンペーン、広告グループ、広告のパフォーマンスなどを素早く把握するために全体像が見えるページ設定です。
ダッシュボードでチェックすべき点は以下の3つ。
- 「Ad Group Status」エリアの「Log」というリンクボタンから、アカウントの操作ログをチェック
- ダッシュボードで表示される、すべてのキャンペーン・広告グループ・広告のステータスをチェックし、進行中の広告が「Active」であることを確認
- パフォーマンス指標をさまざまな次元(デモグラフィック・オペレーティングシステム・デイパーティングを含む)で表示
【キャンペーンページ】
キャンペーンごとのパフォーマンスを深く掘り下げることが可能です。特定のキャンペーンをフィルタリングしたい場合、キャンペーンページを使用することで個々のキャンペーン・広告グループ・広告の詳細を確認できます。
ここでは、キャンペーンページの操作方法とキャンペーンデータ表示のカスタマイズ方法をご紹介します。
<特定のキャンペーンの検索と絞り込み>
ページの上部にある「Campaign」タブをクリック
↓
すべてのキャンペーンのリストが表示される
<特定のキャンペーンを探す場合>
「検索」バーに名前もしくはIDを入力して検索
↓
「Filter」ボタンをクリック
↓
キャンペーンを別の条件で選択
<列をカスタマイズする>
キャンペーンページには、すぐに使える広範囲な指標が表示されます。必要なデータを表示するためにカスタマイズすることが可能です。
※もしも、必要な測定基準が表示されない場合は、
「Default Columns」のドロップダウンから「Custom Columns」を選択。
↓
ビジネスのニーズに合わせて表示を調整することが可能。次回からのアクセスを楽にするためにも、列の表示を保存することをおすすめします。
<パフォーマンスの詳細やオーディエンスの内訳を知ることができる「View Data」>
各キャンペーン、広告グループ、広告の下にある「View data」をクリック
↓
パフォーマンスデータとオーディエンス分析が表示
↓
日付と時間の範囲をカスタマイズし、日ごとor1時間ごとのデータを選択
↓
チャート表示の変更が可能
↓
チャートで確認したい範囲を選んで終了
※「Audience」タブをクリックすると、オーディエンスごとにパフォーマンスデータのセグメント化が可能。
セグメント項目:年齢、性別、場所、興味、デバイスが含まれます。
【レポートページ】
受信トレイにカスタマイズ可能なパフォーマンスレポートが届きます。レポートページでは、自分のスケジュールに合わせてレポートのエクスポートや配信をカスタマイズして管理できます。
また、カスタマイズやエクスポートしたデータをスプレッドシート上で簡単に、整理、分析ができ、表やグラフにすることも可能。
<レポートを作成する>
TikTok Ads Managerの上部の「Reporting」タブから「Custom Reports」を選択する
↓
レポートページ内に表示される「Create」ボタンをクリックする
↓
表示されるドロップダウンメニューから、「Custom Report」または「From Template」を選択する
<カスタムレポートとテンプレートレポートの作成>
カスタムレポートを使用することで、思い通りのレポートを作成できます。
「Custom Report」をクリックする
↓
左側に「Dimensions」と「Metrics」のリストが表示されるので、その中から選択する
- Dimensions:グループ化できるデータの行。キャンペーン、広告グループ、広告、プレースメント、その他多くのオプションがあります。
- Metrics :広告パフォーマンスデータの列。CPM、CPC、CTR、CVRなどがあります。
表示したい「Dimensions」と「Metrics」を選択すると、データが自動入力されます。レポートへの表示順を編集するには、各オプションを上下にドラッグすることで可能です。
また、必要なデータを選択したら、データの取得期間を選択します。昨日・過去7日間・過去30日間のデータから選択でき、カスタムの日付範囲を入力できます。
最も一般的な指標を含むクイックレポートが必要な場合には、「レポートテンプレート」を活用するとよいでしょう。
さらに、「レポートテンプレート」には「Ad Group Performance」と「Ad Performance」の2種類があり、どちらかを選択することで最も関連性の高い「Dimensions」と「Metrics」が表示されます。
※必要に応じて「Dimensions」と「Metrics」の追加、削除、修正が可能。
「Run & Export」をクリックすれば、xlsxまたはcsv形式でレポートをエクスポートできるため、手軽にレポートが参照できるようになります。
<レポートのスケジュール設定>
TikTok Ads Managerのスケジュール実行機能により、自動でレポートを作成し、指定の時間にメールで受け取る設定ができます。
また、メールの受信先は最大5件まで指定することができ、毎日、毎週、毎月初日、毎月最終日など、レポートの配信頻度と配信スケジュールを設定できます。
※TikTok Ads Managerにアクセスできるユーザーのみ、レポートをダウンロードできます。
最後に「Save」をクリックし、レポートの名前を変更して完了となります。
TikTok Attribution Manager では測定期間が選べる
TikTok Attribution Manager(ティックトック・アトリビューション・マネージャー)では、成果を測定する期間を自由に選ぶことができます。ブランドや企業によって、提供するさまざまな製品やサービスのコンバージョン目標や検討期間が異なるため、それぞれに適した成果測定期間を設けることが大切です。
例えば、認知度を高めたいブランドであれば、閲覧数と即時クリック数を重要なキャンペーン指標としますが、自動車のようなブランドは、見込み客が比較的長く検討時間を取ることが予想されます。
そのため、以下のような2つのオプションを設けています。
- クリックスルーアトリビューション(CTA)
- ビュースルーアトリビューション(VTA)
それぞれどのようなものなのか、見ていきましょう。
クリックスルーアトリビューション(CTA)
ユーザーがTikTokの広告をクリックし、目的とするコンバージョンアクションを完了した際に、TikTokにクリックスルーコンバージョンとして帰属する流れです。
1日~28日まで設定が可能。
具体的な設定項目 | 1日、7日、14日、28日 |
ビュースルーアトリビューション(VTA)
ユーザーがTikTokを閲覧して広告をクリックしないが、目的のコンバージョンアクションを完了した際に、TikTokにビュースルーコンバージョンとして帰属する流れです。
オフから最大7日まで設定が可能。
具体的な設定項目 | オフ、1日、7日 |
このように、柔軟でより良いパフォーマンスのためには、アトリビューション・ウィンドウの活用が必要不可欠なのです。この「アトリビューション・ウィンドウ」とは、どのようなものなのか次に解説していきます。
アトリビューション・ウィンドウ
アトリビューション・ウィンドウとは、広告を閲覧したりクリックした人が、その後アクションを起こすまでに要する日数のことを言います。
ある一定の期間に広告をクリック・閲覧したユーザーが、その後どのようなアクションを起こしたかなどを分析できる機能として、個人や多くの企業で取り入れられています。
また、企業ごとの目標に対して、柔軟に対応できるようカスタマイズが可能であることも特徴の一つ。
企業によって、顧客のコンバージョンジャーニー(達成したい目的までの一連のプロセス)は異なり、キャンペーンの最適化のためのマーケティング目標や戦略も異なるため、アトリビューションウィンドウは柔軟であることが重要と言えます。
さまざまなアトリビューションウィンドウの活用によって、より良いキャンペーンパフォーマンスにするための最適化を実現するでしょう。
さらに、キャンペーンに最適なアトリビューションウィンドウを選択する際には、プロモーションしている製品やサービスの性質、起こしたい行動変容を考慮することが必要です。
ここで、イメージしやすいよう具体例を挙げてみるのでご覧ください。
例)季節限定の販売促進キャンペーンを行う小売ブランドの場合
コンバージョンまでに顧客が検討を行う時間を確保する必要があります。よって、7日間のクリックスルーコンバージョンと1日間のビューのアトリビューションウィンドウが最適であると考えられます。
この場合、広告配信するために、特別アトリビューションマネージャーの調整をする必要はないと考えられます。
例)リサーチに時間を要する製品やサービスの場合
例えば、大型家電などコンバージョンジャーニーに時間がかかる場合、キャンペーンの効果と顧客の行動をより細かく把握する必要があります。
そのため、クリックスルーコンバージョンは7日間、ビュースルーコンバージョンは1日以上アトリビューションウィンドウを延長することが望ましいでしょう。
まとめ
近年、TikTokを活用したマーケティング界隈で企業の進出が目立ってきていますが、業界や企業で内容は大きく異なります。先に述べたように、企業やブランドによって広告の目的が異なるため、それぞれに適した効果測定期間の設定と柔軟な対応が必要不可欠となります。
まずは、キャンペーンの効率を上げるためにもTikTok Attribution Managerによるスムーズな広告分析と、より円滑なマーケティングが今後ますます求められることとなるでしょう。