TikTokで企業案件を受けるメリット・デメリットは?注意点とあわせて解説
TikTokで動画を投稿していたら企業案件が届くこともあります。
実は、TikTokはマーケティングの場として近年注目されているSNSの一つで、TikTokerに自社商品を紹介してもらいたい、と考えている企業も増えているようです。
しかし、こういった案件は安易に引き受けてよいものなのでしょうか。本記事では、TikTokの企業案件を受けるメリット・デメリットや引き受ける際の注意点などを解説していきます。
TikTokマーケティングはZ世代へのアプローチに最適!
近年は、マーケティングの場としてTikTokに注目している企業が増えているようです。その理由には、TikTokが15~30秒の短い動画専用のプラットフォームであるという特性が関係しています。
TikTokは、暇つぶしにちょっとしたすきま時間に視聴するユーザーが多いです。また、1本1本の動画時間が短いため、短い時間の間に何本もの動画を視聴できます。
これらの理由から、TikTokはユーザーが広告にリーチする機会が多いSNSとなっているのです。
また、YouTubeに比べてTikTokはエンゲージメント率が高く、高い宣伝効果が見込める点も、TikTokで企業案件が増えている理由の一つです。TikTokのメインユーザー層は、10~20代のZ世代です。
そのため、Z世代向けの商品の宣伝をしたい場合は、TikTokでのマーケティングがおすすめです。
TikTokで企業案件を受けるメリット・デメリット
ここからは、TikTokで企業案件を受けるメリットとデメリットを紹介していきます。
TikTokの企業案件は、「人気TikTokerになりたい」「インフルエンサーとして収入を得たい」と考えている人には大きなメリットです。
しかし、トラブルに巻き込まれたりなどのリスクやデメリットもあります。メリットとデメリットの両方をきちんと理解したうえで、依頼を受けましょう。
TikTokで企業案件を受けるメリット
まずは、TikTokで企業案件を受けるメリットを紹介していきます。TikTokで企業案件を受けるメリットは次の3つです。
- 報酬がもらえる
- 新規フォロワー獲得のチャンスになる
- 企業とのつながりができる
報酬がもらえる
まずなんといっても、自分の好きなこと、得意なことでお金をもらえる点が最大のメリットでしょう。企業案件の報酬額は、フォロワー数×単価で決まることが多いです。
また、通常単価はフォロワー数が多ければ多いほど上がっていくので、人気が出れば一回の案件で高額報酬を得られることになります。
さらに、案件を成功させて企業に「もう一度この人にお願いしたい」と思わせられれば、継続依頼になることもあります。
継続依頼でまとまった収入を定期的に得られるようになれば、インフルエンサー一本で生計を立てられるようになるかもしれません。
新規フォロワー獲得のチャンスになる
企業のPR動画といっても、自分のアカウントに投稿されるコンテンツの一つです。したがって、企業案件動画も普段の動画と同様、自分自身のプロモーションにもなります。
加えて、案件動画は普段自分の投稿を見ていない層に見てもらいやすいです。そのため、企業案件動画は新規フォロワー獲得のチャンスにもなります。
企業とのつながりができる
案件をこなし、信頼関係を築くことで、企業とのつながりを強化できます。企業との関係が深まっていくうちに、案件動画だけでなく、イベントへの参加やコラボ商品の開発などの話ももらえるかもしれません。
定期的に企業からの仕事を受けるようになれば、活動の幅が広がるほか、「同じ企業から継続して依頼してもらえる、信頼できるインフルエンサー」というイメージを持ってもらえます。
TikTokで企業案件を受けるデメリット
TikTokで企業案件を受けるデメリットとしては、次の3つが挙げられます。
- 悪質な依頼が来ることもある
- ファンに嫌われる
- 損害賠償を請求されることがある
悪質な依頼が来ることもある
依頼してくる企業がかならずまともな企業とは限りません。中には最初に提示していた報酬よりも安い金額が支払われる、報酬を一円も支払わないなどの詐欺依頼が届くこともあります。
もちろん企業側には支払い義務があるので、弁護士を立てて支払いを催促することは可能ですが、弁護士費用もかかってしまいますし手間や時間もかかります。インフルエンサー専業の場合は特に、支払い遅延は死活問題でしょう。
こうした悪質な依頼に引っかからないように、依頼を受ける前に依頼してきた企業について調べておくようにしましょう。具体的には、企業名でGoogle検索してみたり、口コミや過去の依頼実績などを確認しておくとよいでしょう。
ファンに嫌われる
企業案件動画は、どうしてもビジネス感が強くなってしまいます。ユーザーは面白いトークやインフルエンサーのキラキラした投稿などのエンタメを求めているのに、ビジネス色の強い投稿が続くと「つまらない」「期待を裏切られた」と思われてしまいます。
特に、TikTokのメインユーザー層である10代は、ビジネス感の強いコンテンツに敏感であることが多いです。企業案件ではフォロワー数が報酬に直結するのに、企業案件がきっかけでファンが離れてしまったらもったいないですよね。
企業案件を受けてもフォロワーが減らないようにするためには、企業案件動画でも普段の投稿の雰囲気を保つ、企業案件以外の動画も継続的に投稿する、の2点を意識しましょう。
損害賠償を請求されることがある
企業案件動画がきっかけで企業のイメージをダウンさせてしまった場合、損害賠償を支払わなくてはならないこともあります。特に気を付けたいのが、商品・サービスの効果を過度に誇張する、うそをつくなどの行為です。
これらの行為は企業の信頼を下げるだけでなく、投稿内容を信じて購入したフォロワーからも「裏切られた」と思われてしまいます。過去に実際に5,000万~6,000万円の損害賠償が生じたケースもあるので、企業案件動画では特に発言内容に気をつけましょう。
また、意図せず誤情報を流してしまうことがないように、案件動画を作成する前に企業と入念に打ち合わせし、商品・サービスの詳細やレビューもしっかり調べておきましょう。
TikTokで企業案件を受ける際の注意点
炎上によるトラブルや悪質な業者による詐欺被害を避けるためには、次の3点に注意しましょう。
- かならず案件であることを明記する
- 契約書を読み込む
- 商品や企業について事前に調べる
かならず案件であることを明記する
案件動画であることを伝えずに宣伝することを、ステマ、ステルスマーケティングといいます。ステマは法律で禁止されているわけではありませんが、多くの人が嫌悪感、抵抗感を抱く行為です。
たとえば、企業から依頼されていることを隠して、自分が愛用している商品だと紹介した場合、購入したファンは「インフルエンサーと同じものを使いたいというファン心を利用された」「裏切られた」と感じ、一気にファンが離れてしまうでしょう。
また、ステマがばれてしまったら、「あの企業はステマを依頼するような企業なんだ」と、企業側のイメージダウンにもつながります。案件動画を投稿する際は、タイトルに「提供:〇〇社」と付ける、ハッシュタグで「#PR」「#広告」と付けるなど、かならず案件動画であることを明確にしておきましょう。
契約書を読み込む
悪質な依頼の場合、契約書にインフルエンサー側が不利になるような内容が書かれていることがあります。
例えば、無駄に細かいルールを設定し、破ったら報酬が支払われない、などといったケースがあります。一度契約を結んでしまったら、いくら後から訴えたところで契約内容に従わなくてはなりません。
場合によっては違約金を支払わなくてはならない、なんてことも起こりうるので、契約書は隅々まで確認しましょう。
また、悪質な契約に限らず、報酬の支払い方法が思っていたのと違った、など契約書の確認不足はトラブルになりうるので、契約書はしっかり読み込む習慣をつけましょう。
商品や企業について事前に調べる
悪質な企業を見分けるため、企業についての下調べはかならず行いましょう。依頼メールの日本語がおかしいなど、明らかに詐欺とわかる場合もありますが、一目ではわからないケースもあります。そこで、詐欺を見分ける方法として、次の4項目を事前にチェックしましょう。
- 企業ホームページ
- DMを送ってきたアカウント
- 商品・サービスの詳細
- 企業や商品の口コミ・レビュー
- 報酬額
TikTokで企業案件をもらう方法
TikTokで企業案件をもらうには、企業に「この人に依頼すれば高い宣伝効果が得られそうだ」と思われる必要があります。具体的には、次の5点を意識しましょう。
- フォロワー数を増やす
- マッチングサイトなどで積極的に案件を受ける
- アカウントのテーマを統一する
- クリーンな投稿を意識する
- ユーザーの傾向を分析する
フォロワー数を増やす
まずはフォロワー数を増やすことを目指しましょう。フォロワー数が増えれば一回の依頼でもらえる金額も増えますし、企業側に見つけてもらえる可能性も上がります。フォロワーを増やすための戦略の例としては、次の6つがあります。
- ハッシュタグを活用する
- 他のSNSもあわせて運用する
- 定期的に投稿する
- TikTokのアルゴリズムを理解する
- 人気のBGMを使う
- フォロワーとのコミュニケーションを大事にする
それぞれ具体的に解説します。
ハッシュタグを活用する
ハッシュタグを付ければ、検索から自分の投稿を見つけてもらえる可能性が高くなります。動画を投稿する際は、投稿内容に合ったハッシュタグやトレンドのハッシュタグをつけましょう。
ただし、ハッシュタグは多ければ多いほどよい、というわけではありません。ハッシュタグは、一つの投稿につき4~6個を目安につけることをおすすめします。
他のSNSもあわせて運用する
TikTokでフォロワーを増やしたいなら、ほかのSNSもあわせて運用することをおすすめします。
例えば、TwitterやInstagramのストーリーズで投稿したことをお知らせしたり、「TikTokでバズった動画」として紹介すれば、投稿に気づかなかったフォロワーに視聴してもらうこともできますし、TwitterやInstagramは使うけれどTikTokは使わない、というユーザーにも自分のことを知ってもらえます。
また、Instagramで日常の様子を投稿したり、YouTubeでメイキング映像など少し長めの動画を投稿したりなど、それぞれのSNSの特性に合わせて投稿内容を変えるのもおすすめです。
定期的に投稿する
投稿頻度があまりに空いてしまうと、ユーザーは離れて行ってしまいます。したがって、ネタがないからと言って投稿期間が空きすぎないように注意しましょう。
とはいえ、あまりに頻度が高すぎると、ユーザーに飽きられてしまったり、投稿することが目的になって内容のクオリティが下がったりしてしまいます。無理のない頻度で、クオリティを維持できる程度の頻度で投稿しましょう。
また、同じ時間や曜日に投稿し続けることで、TwitterやInstagramの告知投稿を見ていないユーザーにも、「今日は投稿のある日だな」と見に来てもらえます。そのため、「平日19時」など、曜日時間を固定して投稿することをおすすめします。
TikTokのアルゴリズムを理解する
TikTokで知名度を上げ、フォロワーを増やすにはおすすめ欄に表示させることが重要です。おすすめ欄は、TikTokのアルゴリズムにのっとって、ユーザーの好みに合わせた動画を表示させる機能です。
公式に発表されたものではありませんが、TikTokのアルゴリズムは次の2つの式から導き出される数値をもとに、良質なコンテンツかを見極めています。
- (再生回数に対する)いいね率+コメント率+シェア率
- 再生回数×再生維持率
1つ目の式からはユーザーのエンゲージメント率、2つ目の式からはユーザーが最後まで動画を見ているかを導き出せます。再生維持率とは、ユーザーがどれだけの間離脱せずに動画を見続けたかを表す数値です。例えば、30秒の動画を15秒だけ見て視聴をやめたら、再生維持率は50%になります。
人気のBGMを使う
TikTokでは、動画に好きな音楽を付けて投稿できます。そして、多くのユーザーが使っている人気BGMを使った投稿はおすすめ欄に表示されやすくなります。
また、使っている曲名をハッシュタグで付ければ、曲名から検索したユーザーにも見てもらえます。
フォロワーとのコミュニケーションを大事にする
ユーザーが自分のファンになってくれれば、かなり高確率でフォローしてもらえます。TikTokなどのSNSでユーザーをファン化するには、ユーザーとのコミュニケーションが大切です。
フォロワーと積極的にコミュニケーションをとるインフルエンサーは、ファンを大事にしている、という印象がつき、自然と好感度が高くなります。
コメントに返信したり、フォロワーからの意見を取り入れたりなど、積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。
マッチングサイトなどで積極的に案件を受ける
企業が依頼する際、企業案件の受注実績が0件のインフルエンサーより、1件でも実績のあるアカウントの方が信頼できると感じるでしょう。
そのため、企業案件でお金を稼ぎたいと考えている場合、フォロワー数が少ないうちから案件を受けることをおすすめします。マッチングサイトの場合、だいたいフォロワー数3,000~1万人から登録できることが多いです。
フォロワーが少ないうちでも、DMで直接依頼が届く場合もあります。しかし、フォロワー数が少ないアカウントに届く企業案件は、残念ながらたくさんのアカウントに一斉送信されている詐欺メールである可能性が高いです。
もし受けたいと思っても、まず企業や商品について入念に調べ、契約内容もよく確認して判断するようにしましょう。
アカウントのテーマを統一する
フォロワー数を増やすには、広く浅く、幅広いテーマの動画を投稿すればよいのではないか、と思うかもしれません。しかし、ユーザーをファン化し、フォローしてもらうには、アカウントのテーマを統一するほうが効果的です。
統一感のない投稿をしている場合、ある一つの動画だけ気に入られても、フォローには至らない場合が多いからです。また、企業が依頼するインフルエンサーを選定する際にも、統一感のあるアカウントのほうが選ばれやすいです。
企業は、商品についての知識がある人や、ファン層とターゲット層がかぶっているインフルエンサーに依頼したいと考えています。
例えば、化粧品の紹介をしてもらいたいと考えている場合、化粧品やお菓子、衣料品など幅広く紹介しているアカウントより、メイク動画のみをアップしているアカウントに依頼したいと思うでしょう。このように、自分のアカウントの強みやファン層が一目でわかるような、統一感のあるアカウントの方が有利なのです。
クリーンな投稿を意識する
案件動画が炎上してしまうと、企業側もダメージを負ってしまいます。
そのため、企業側は炎上のリスクが低そうなインフルエンサーを選びたいと考えるでしょう。
ゆえに、普段から問題発言や過激な投稿が多いアカウントには、案件は届きにくくなります。企業案件を受けたいなら、日ごろからクリーンな投稿を意識しましょう。
ユーザーの傾向を分析する
企業は、フォロワー数だけでなくエンゲージメント率も重視しています。
エンゲージメント率の低いインフルエンサーよりも、高いインフルエンサーのほうが投稿をみたファンが商品を購入してもらえる可能性が高いためです。
そのため、TikTok分析ツールを使用し、ユーザーのエンゲージメント率を分析し、改善できるようにしましょう。
TikTokの企業案件の報酬額の相場は?
企業案件での報酬額は、フォロワー数×単価で決まることが多いです。下の表は、フォロワー数別の単価の相場を示したものです。
フォロワー数 | 単価相場 | |
メガインフルエンサー | 100万人~ | 4~6円 |
ミドルインフルエンサー | 10万人~100万人 | 3~5円 |
マイクロインフルエンサー | 1万人~10万人 | 2~3円 |
ナノインフルエンサー | 1,000人~1万人 | 1円 |
ライトインフルエンサー | ~1,000人 | 1円以下 |
この相場をもとにすると、フォロワー数5万人のインフルエンサーは1回の依頼で10~15万円、フォロワー数10万人のインフルエンサーは30~50万円もらえることになります。
また、フォロワー数20万人~なら一回で100万円以上もらえるようになり、かなりまとまった収入が入るようになります。
また、報酬形態はフォロワー数×単価以外にも、動画再生数×単価で決まる場合もあります。その場合、フォロワー数の少ないインフルエンサーでも、高額報酬がもらえるチャンスがあります。
TikTokの企業案件はどこからもらえる?
では、インフルエンサーは実際どこから企業案件をもらっているのでしょうか。TikTokの企業案件をもらう経路としては、おもに次の3つがあります。
- 直接DMでもらう
- 事務所経由
- インフルエンサーマッチングサイト
直接DMでもらう
インフルエンサーとして活動していると、DMに直接依頼が届く場合もあります。特に、事務所に所属せずに個人で活動している場合は、DMで依頼を募集するのが基本になります。
ほかにも、事務所経由やマッチングサイト経由よりもコストがかからない、普段の投稿から魅力を感じてぜひこの人に依頼したいと思った、などの理由から直接依頼する場合もあります。
しかし、DMの直接依頼には、悪質な依頼や冷やかしも多いのも事実です。また、価格交渉などを自分でする必要がある点、どうしても受け身になってしまう点は直接DMで依頼を受けるデメリットだといえるでしょう。
事務所経由
事務所に所属している場合は、事務所から案件が割り振られます。価格交渉や営業は事務所が担当してくれるほか、怪しい案件は事務所側が避けてくれる点は大きなメリットでしょう。
しかし、事務所に所属するには、ある程度のフォロワー数と唯一無二の個性が必要になります。
所属へのハードルは若干高めですが、活動の幅を広げられ、大きな事務所なら安定して案件を受けられるので、インフルエンサーとして本格的に活動したい場合は、事務所への所属を目指してもよいでしょう。
インフルエンサーマッチングサイト
事務所には所属していないけれど、受け身で案件を待っているだけでは不安だ、という場合は、インフルエンサーマッチングサイトを利用し、自ら案件を探しましょう。
インフルエンサーマッチングサイトとは、案件を依頼したい企業と、企業案件を受けたいインフルエンサーを引き合わせるサービスです。
企業側には、条件にマッチしたインフルエンサーをおすすめする機能があるので、フォロワー数にかかわらず企業に自分の存在を知ってもらえやすくなります。
サービスの範囲はサイトによって違うので、サイトを比較したり、複数登録してみたりして自分に合っているサイトを探しましょう。
ただし、サイトによってはフォロワー数〇〇人以上、などの制限がある場合があります。しかし、サイトによっては無料で登録できる場合もあるので、企業案件を受けたいなら積極的に登録しましょう。
まとめ
TikTokは日本人ユーザーも多く、近年、特にZ世代に向けたマーケティングにおいて注目されています。TikTokで依頼を受けるメリットとしては、報酬がもらえる、新規フォロワー獲得のチャンスになる、企業とのつながりができる、の3つがあります。
しかし、中には悪質な依頼が届くこともあったり、ビジネス色の強い投稿が続くとフォロワーが離れてしまったりといったリスクもあります。TikTokで依頼を受ける際は、契約書をよく読み込み、商品や企業について事前に調べるようにしましょう。